プロダクションノート バックナンバー
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2016年6月。
1か月後に控えた初の長編「Every Day」の劇場公開を前に宣伝も追込みの時期に入っていた。
マスコミ試写や各種インタビューをはじめとする取材、ラジオ番組での番宣を経て、
ありがたいことにトークイベントを組んでいただけることになり、
宣伝の加瀬さん、主演の山本真由美さん、そして牛水里美さんと共に
母校である埼玉県は川越市にある尚美学園大学に向かっていた。

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映像を専攻する現役生たちを対象に
当時の学生生活や卒業後はどうだったのかを話し、
在学中に作った作品のダイジェストを観ながらトークを行うことに。

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ちらちらと1年次からの実習作品が順に視界に見切れるようになり、
卒業制作の「グーチョキパー」は当然のことながら映し出された。
再会の瞬間は突然だった。

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しゃべるのを忘れて思わず見入ってしまった。
約10年ぶりだ。
粗さはあれど、まっすぐに作っていた当時の自分に再会したのである。

この少し前の話。
久々に牛水里美さんとお茶をした。
その時、どちらからともなく「グーチョキパー」の続編とかそろそろ作ってもいいかもね、という話になり、続編をやるとしたら、と二人して夢中になってアイデアを出し合った。

ここで初めてキャスティングについて具体的なアイデアとしていしいそうたろうさん、神部冬馬さんの名前をはじめて挙げた。
ストーンゴッドという舞台ユニットを組んでいる二人の演技している姿はすでに頭にあったので、普段テレビで見せていない面をどう出すのか。

2人が、特にいしいさんがひろみをやった高橋君と顔の雰囲気が似ているのもあって、
ならばいしいさん、神部さんが成長したひろみとノブだったらイケると、牛水さん相手に話した。
2人の画像を見ながら「そっくりー!」と牛水さんが言ってくれたのもあり、大いに盛り上がった。
でも、この時は登場人物たちの状況がうまい具合に固まらず気が付いたら終電でタイムアウトとなり、解散した。

実は続編について挑もうとした時期が何度かあった。
主演の二人が俳優をしているわけではないので製作することは不可能だとしても
考えるだけならとイメージすると、浮かんでくる話がすべて閉塞感漂う話になり、すぐさま立ち消えになった。

それはそうである。
あの3人が高校を卒業してから久々に会うとなると、それぞれの時間が流れることになる。
3人全員がまた会うことなんてあるだろうか。

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ひろみはあの後、茜を追うように東京に出て芸人を目指したとしても売れるかどうかは別だし、ノブは街に残って、本当に納得したのだろうか。
茜は18歳の夏に東京に出ていって2人にまた会いたいなんてそんな純粋なままいられるだろうか。
ひろみと茜は付き合ったのか。
いや、続いてなさそうだな。
と、浮かぶ話とその顛末が苦くすべてダークな結末ばかりだったので、
知り合いと会えば酒のつまみにたまに話す、空想にすぎなかった。

そして、2016年の川越。
当時のことを牛水さんや教授と話すうちに
それから現役生からの質問に答える際に
何を考えて、何を大切にしていたのか
言葉にすることで自分なりに意外と整理がつけられていることに驚いた。

それからさらに時は流れて2016年年末。
地元・南アルプス市での「Every Day」のアンコール上映会の実施が決定した。
このイベントの目玉に、賭けに出ることにした。

いしいそうたろうさん、神部冬馬さん主演で「グーチョキパー」の続編をやる!

スタッフは意外と反対しなかった。
しきりに手塚の体調や予算調達、スケジュール等、やること前提での現実面を重視してもらったのがありがたかった。
こちらの気持ちなんぞお見通しだったんだろう。

年末の関西上映初日の前夜にぶつかったみっかる.TVに神戸のホテルから電話の音声を生中継してもらい、
そこで制作発表した。

言ってしまったぞ、自分!

しかし、この時シナリオはおろか、内容については全くの白紙の状態だったのである。


つづく。


山梨・テアトル石和
2017.11.4(土)〜11.17(金)
※タイムテーブル、ゲストの詳細は劇場までお問い合わせください。



【イベント情報】

11/4(土)
初日舞台挨拶+「グーチョキパー」「グーチョキパー ビヨンド」特別上映
※終了後、懇親会あり



11/5(日)
シネ婚「Every Dayなシネ婚」

11/11(土)
未公開映像集DX(関東初)

11/12(日)
女子力全開コメンタリー上映(関東初)


【お問い合わせ】
テアトル石和
〒406-0023 山梨県笛吹市石和町八田291
電話: 055-262-4674

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